このコーナーはみなさんから寄せられた質問に答えた内容を紹介したものです。練習の参考になれば幸いです


相談  ポストの守り方について一つ質問があります。シドニーオリンピックの決勝や送っていただいたビデオを観ていて、ポストがよく空くなあと思いました。
一線で守っている時に下が空くのは致命的だとある人にいわれましたが、DFが9mの前で止めなければ守り切れない以上、無理が生じると思います。
例えば、センターDFにポストがいるとして、相手の45度が攻めてきた時にどうしても45度DFは前に浮きます。その下をポストが走れば、センターDFがマンマークでついていかない限り必ずフリーになりますよね。オリンピックの決勝戦ですらポストはかなり空いていました。マンツーマンで守らず、結果的にポストの受け渡しができない局面が多くありました。
ポストについていけば自分のいた場所はがら空きになるし、ついていかなければ、ポストはフリーになる。結局、さっきの例でいえば、ポストがパスを受けた時点でサイドとセンターDFが素早く寄っていき、ポストを2人ではさむしかないのでしょうか。ポストは受け渡し(チェンジ)で守りきれるものでしょうか。
0:6DFを使っていて、一番疑問に思う点です。


  「一線DFで下が空くのは致命的」とありますが、言葉尻だけを取りますと、「下が空くのは致命的」ではなく、「空いたポストに良いパスが渡るのは致命的」ということではないでしょうか。
言われるとおり、走ってくるOFは前へ詰めなければシュートを打たれてしまいます。かと言って9mまで詰めれば下が空きます。ポストがその空いたスペースに走り込めば、パスが恐いですからDFはついていきます。これはマンツーマンでついていかない限り(マンツーマンでついても)パスが通ればフリーになります。

 では、すべてのOFに対してマンツーマンで守ればどうか、ということになりますが、そうなると組織立ったDFができなくなり、DFの方が不利になることはおわかりいただけると思います。したがって、ポストをDF間の受け渡し(チェンジ)で守り切れれば、言い換えればDFの無駄な動きを少なくできければ、マンツーマンでポストを守るより、はるかにOFのいろんな動きに対応しやすくなります。

 ですから、考え方としては 「下が空くのは当たり前、要はポストをタイミング良く走らせなければ、あるいは良いパスを入れさせなければ、たとえパスが通ったとしてもある程度は対処できる」 と、割り切った方が良いと思います。

 DFはOFの動きに応じて動きますので常に後手に回ります。ですから、先読みして位置取りを行うわけですが、それだけではどうしても穴が生じます。その穴に付け入らせないように工夫するわけです。

1.良いパスをさせないための工夫

 @ 速く(早く)前へ詰めて、フローターにパスをする余裕を与えない。

 A フローターの利き腕側から詰めて、はやく利き腕を押さえる。

 B 常にフローターをけん制する(余裕を与えない)。

 C 常に手をあげる(遠くからの速いパスは絶対入れさせない)。

 D 前に詰めたDFがフェイントで抜かれたら、すぐマークをポストに切替えてパスカットに集中する。

2.ポストにタイミング良く走らせない、パスを受けさせない工夫

 @ ポストを背に置き、フローターから隠す。逆のフローターへボールが渡っても、すばやく同じ位置取りをする。

 A ポストがいる場合は、2人のセンターDFのうち1人は6mラインにへばりついて、ポストの行動範囲を狭める。

 B 自分の前をポストが走る場合、必ずチェックする(前へ押し出す)。

 C ポストの位置を常に声で連絡し合う。

 D ポストは手渡しで、声をかけて隣のDFに渡す。

 E 縦ブロックを受けたら、すぐにブロックされた側の手でポストを抱え(ポストから離れない)、もう一方の手でパスカットする。

 F ファーストアタックでポストの動きをある程度止め、間髪を入れずにボールカットに行く。

 G ハッキングを取られない程度の手や腕のカットを、個人技術として身につける。

  これらはDFをする上でごく基本的なことで、だからと言ってポストを守り切れるというものではありません。
ですから、なるべくポストシュートの確立を下げるための工夫も平行して行うのです。ポストの腰より低いところへパスがいけば、体勢を立て直すのに少し時間がかかりますし、フワッと入るパスの方がズバーッと入るパスよりフォローしやすいでしょう。そのためにはどうすれば良いのか、を考えて欲しいのです。その対策をたくさん持っているチームが勝っていくのです。

 オリンピックや世界選手権でポストがよくフリーになりますが、これは当たり前です。身長2m前後のアタッカーが強烈なシュートを狙ってくるわけですから、前へ詰めないと絶対に上からシュートを決められるのです。ボールを持った人間が一番恐いわけですから、ポストよりもまずはフローターなのです。

 しかし、一旦ポストへパスが通ったら、誰であろうが最も近い者が、ライン内であろうが何だろうがおかまいなしにすっ飛んで行って、すっごいファーストアタックを行いますね。世界と国内の審判の笛の違いもあると思いますが、許される限りの反則ぎりぎりのDFで対処しているのです。

 なかなか完ぺきにとはいかないと思いますが、コンビネーションで守る工夫をしてみてください。