このコーナーはみなさんから寄せられた質問に答えた内容を紹介したものです。練習の参考になれば幸いです


相談
 私は、ハンドボールのGKを始めて約半年。もうすぐ県大会もあるので、毎日練習をしています。けれど、部全体の練習ではGKにとって効果的な練習がほとんどできません。顧問の先生は「無理にボールを止めずに、取れるのだけ取っとけ」と言います。けれど、そうすると部活中のGKはきちんとした練習ができません。今は、部活後に友達にたのんでキーパー練習を少ししているくらいです。それに、キーパーについて書かれた本がとても少ないです。練習方法を相談できる人が周りにいないので、どうすればいいのかわかりません。
 もっともっと!上手くなりたいから、いい練習方法を探しています。どうか私にキーパーのいい練習方法を教えていただけないでしょうか?

 キーパーの練習方法についての質問ですが、その前に整理しておくべきことが何点かあります。それを指摘しながら説明します。

 まず第1に、ボールを怖がらないということ。

 サイドシュートが顔横に飛んできても逃げない気持ちが必要です。韓国のキーパー練習の中に、両手を広げたキーパーに至近距離から力いっぱいボールをぶつけるというのがあります(善花女子商業のハンドNo1)。怖い気持ちを勇敢に振り切って、むしろ戦争のつもりでボールに突進して行って下さい。

 第2に、受け身にならないということ。

 速攻ノーマークシュートで、最初前へ出て徐々に下がりながら取るキーパーがいます。でもほとんど取れません。これは捕球時に受け身になっているからです。じーっとがまんしていて、「ここぞ」という勝負所になったら、瞬間的に前へ出て勝負するのが良いキーパーです。キーパーは常に強気で、最後は前へ詰めながら取ることが肝心です。練習方法は速攻練習の時のキーピング、ポストシュートの時のキーピングに前へ出るよう心がけることです。

 第3に、位置取りを正しくおこなうということ。

 ボールの展開に合わせて基本の位置を常に修正します。しかもすばやく。この位置からシューターとの勝負が始まるのですから、最初から位置がずれていると不利になるのです。基本的にはシューターとゴールポストを結ぶ三角形の中央に常にいるように心がけて下さい。練習方法としては6mラインに10人ほどシューターを並べて、サイドから順にシュートを打ってもらい捕球するのが良いでしょう。

 第4に、自分の決めたコースに打たせるということ。

 そのためには最初基本の位置取りから、勝負の時に少し左右いずれかに寄り、空いている方に打たせて取ります。とくにサイドシュート・ノーマークシュートの時効果があります。(サイドシュートはなるべく上からおおいかぶさるようにして取ること、早く位置取りをしてギリギリまで動かないことが肝心です)相手の特徴を早くつかむ訓練をして下さい。シュート練習の時もシューターの得意なシュートをわざと打たせて取るように心がけるのです。これは試合でも同じで、相手のシュート練習の時から中心選手の得意なシュートの種類・コースを分析しておきます。良いキーパーはシューターの癖を読むのが的確で、非常に早いものです。これは情報収集力にもつながります。練習方法はサイドシュートの練習時が一番コースをつぶしやすいと思います。

 第5に、反射神経を磨くこと。

 シュート動作から球が飛んでくるまでゼロコンマ何秒の世界です。瞬間的にボールに触ることができれば、ボールはコースを変えゴールをかすめるということもあります。逆を衝かれても瞬間的に逆の手や足が出るように訓練する必要があります。練習方法としては、7m付近からのシュートを振り向きざまに補給したり、6mラインにDFを立たせて7m付近からDFの左あるいは右から連続してシュートを打つのを捕球(DFはズーッと並んでいて1球毎にDFが代わる)したり、前転や後転のあとジャンプしてシュート捕球動作をしたりする練習などがあります。

 第6に、手と足の両方で取るように心がけるということ。

 足に触れてそのままゴールということがしばしば見受けられますが、手をいっしょに出していれば足に触れたあと手にぶつかって捕球できるということもあるのです。練習方法はゴールの右上のシュートを左手で弾き、連続してゴール左下のシュートを右手と右足で取ります。シューターは列を作り、どんどん連続して打ちます。できれば右コーナーを狙う列と左コーナーを狙う列の2列を作ったほうが効率的です。

 第7に、ボールは真下に落とすよう心がけるということ。

 これは捕球の後即速攻に移るためです。腕はボールが当たった瞬間後ろへ少し引き、ショックを和らげます。足で取るときはボールの上部を勢い良く蹴り上げます。そうするとボールは回転で勢いが弱まり真下で止まります。
練習方法はシュート練習の時真下に落とすように心がけることです。

 第8に、柔軟な体をつくること。

 大変基本的なことですが、両足を開いて座ってその中に胸をくっつけることができますか?頭をつけるだけでも結構。これができるのとできないのとでは、同じ練習をしてもキーピング力に大きな差ができてしまうのです。練習方法は左下あるいは右下のボールを捕球する姿勢(目いっぱい股を開いて)を数十秒ずつ取るのを繰り返します。ストレッチングのようなものです。

 以上のことを頭に置きながら練習を行なって欲しいのです。そうすれば、今までと同じ練習でも、自らの意思で行い、自らの創意工夫が入りますので、より本物の力になると思います。どんな練習も「やらされている」のでは絶対うまくいきません。要は「やろう」として自ら工夫することなのです。これは数多くあるヒントのうちのいくつかです。このヒントを今後の練習に生かすよう、ぜひ頑張ってください。

 私の作成した編集ビデオ「善花女子商業のハンドボール1」.「善花女子商業のハンドボール2」、「静石航空工業のハンドボール」の中でもキーパー練習編が入っていますので、参考にして下さい。