このコーナーはみなさんから寄せられた質問に答えた内容を紹介したものです。練習の参考になれば幸いです


相 談

 僕は県内で下から数えたほうが早いようなレベルの中学校に通っています。もうすぐ県の新人戦があるんですが、不運なことに一度練習試合をした学校と1回戦であたることになりました。一度たたかったことがあるのであまりフォーメーションは使いにくいんですが、うちのチームにはコンビネーションというものがないので困ったことになってしまいました。ディフェンス面ではオフェンスを9m内に入れさせないことを約束事としています。そんな僕のチームになにかいい戦術はないものでしょうか?
 チームの状況は、左45度は173センチで右45度は171センチの左利きで2人ともロングを狙うシュート力はあると思うんですがどうも弱気なってしまうんで攻撃のリズムがあまりよくありません。できれば右45度がシュートをうてるようにみんなが動けるようになったらいいんですがどのような動き方がいいでしょう?

 一度練習試合をした相手ならば事前に対策が立てられるのでなおさら良いのではないでしょうか。私はそう思います。条件は相手も同じですけれども…。

 前回対戦したときの欠点と思われる部分を、どんな細かいことでも良いですからみんなで徹底的に話し合ってみてください。そして考えられるだけの対策を立てて、練習に取り入れてください。

 これは企業活動でも PLAN(計画)−DO(実行)−CHEK(点検)−SEE(反省)のサイクルで実際に行われています。クラブ活動で社会人と同じことを経験するわけですから、手を抜かずきっちりやることで、社会に通用する立派な人間になっていくだろうと思います。

 フォーメーションはひんぱんにやるものではありません。「ここぞ」というときにやるから効果があるのです。だから何度も通用するのです。実際、学生の試合では同じフォーメーションが同じ試合の中で何回も使われることがあります。心配しないで下さい。

 フォーメーションはフリースローフォーメーション、6:5時のフォーメーションを含めて3〜4持っていれば充分です。あまりフォーメーションに頼ると応用が利かなくなって、様々な変化に対応できなくなります。また、フォーメーションが通用しなくなったとき、チーム全体がパニックに陥って、負の連鎖で総崩れになることが多いのです。ですから、フォーメーションの使用はよほど気をつけることが大事です。

 
フォーメーションは私の創った編集ビデオ「ザ・コンビネーション」に満載しています。大変参考になると思いますので、良かったら顧問の先生に買ってもらってください。

 OFを9mライン内に入れないということは不可能ですから、ボールを自由にコントロールできない状態(プレーヤーとして死んだ状態)で入れましょう、ということです。45度プレーヤーに対するファーストアタックを9mラインの外で行えば、相手の勢いは弱まりますし、抜かれた後のフォローもしやすくなります。DFは自分のマークを常に確認し(特にボールの無い時の動きをチェック)、相手に好きな動きをさせないよう、いつもいつもけん制してください。これだけでも大きな効果があります。

 前へ出られない原因の多くはDFの注意不足とポストプレーヤーの確認ミスによるものです。誰がポストを見て誰がフローターを見るのか、常に声を出して確認していなければ、いつでもすばやく前へ詰めることができないないのです。ただエイヤーと声を出すのではなく、激しく攻められているときのポストの位置の確認と、誰が前へ出るかの確認の声をしっかり出してください。

 大きな選手が両45度にいるということは攻撃面では非常に有利です。しかも右45度が左利きというのは願っても無いすばらしいチームだと言えます。ただし、すばらしい財産を使いこなせば…ですが。

 これは根本的に両フローターが失敗を恐れず、失敗しても先ほどのPLAN(計画)−DO(実行)−CHEK(点検)−SEE(反省)を利用し、7転び8起きの精神で試合や練習に立ち向かえば問題ないでしょう。要は自分が主体的に自分をどれだけ鍛えられるか、にかかってきます。コンビネーションはその次の問題です。

 それはそうとして、45度に打たせるには、逆の45度にセンターとポストとサイドをからめて、まず勝負(シュート)させるということです。この攻撃が怖ければ必ずDFがついてきますので、DFが厚くなったら逆45度にパスします。逆45度はすでに走り込んできていて、ボールをもらったら1歩でシュート(DFが戻る前にシュート)します。もちろん、最初の攻撃でシュートできればシュートします。これが決まれば一番良いのです。

 目一杯走りこんできて、遠いところからズドーンと打って決まるシュートというのはそんなにありませんし、いずれは通用しなくなります。DFとの位置(間合い)の取り合い、ぶつかり合いの中からシュートを狙うのです。DFの手が上がる前にクィックモーションで打つとか、ブロックが入った瞬間にその横から打つとか、ジャンプしてからグーッとためて打つとか、DFのブラインドを利用して打つとか、そんなシュートを身に付けたほうがよく入るのです。

 45度に打たせるためにみんながどういう動きをすれば良いかということですが、くどいようですけれどもその前にまずみんながシュートを狙ってください。そうしないとDFは45度フローターのみに集中してきますので、45度シュートの成功率は格段に下がります。

 特にサイドシュートはどんなに小さい角度からでも狙って、そして決めるようになってください。そうするとDFの間隔が広がりますので、45度シュートが狙いやすくなります。

45度に打たせる方法 その1
 サイド→45度→ポストの45度DF内ブロック(センターDF外ブロックから)→45度とセ ンターの間からシュート→あるいはポストへのパス

45度に打たせる方法 その2
 上記サイドからのパスを逆45度とセンターのクロス後、逆45度からのパスに読み替える

45度に打たせる方法 その3
 サイド→45度→ポストのセンターDF外ブロック→逆サイドからの回りこみへパス→逆サイド 回りこみからのリターンパス→逆サイド回りこみは逆センターDFブロック→センターDFの上 からシュート(センターと逆45度は逆サイドのほうへ移動)

45度に打たせる方法 その4
 センターから45度へパス→その後センターDFブロック→逆センターブロックのポストが浮く →45度から浮きポストへパス→浮きポストから45度へリターンパス後センターDFブロック →センターDFの上からシュート

 45度フローターはDFが出て来ないと判断すれば、いつでもシュートに行くように心がけていてください。

 最後に、どれだけたくさん得点するかということ以上に、どれだけ失点をなくすかということ、つまりDFの強化をはかってください。負けないチームになるためにはDFのコンビネーションが最も大事です。まずは1対1、次に2対2、そして3対3、4対4、6対6と人数を増やしていく中で隣とのコンビネーションを覚えていってください。

 あまりあせらないで、最終的には来年の春の大会を目指すくらいの気持ちで取り組んだほうが良いと思います。



 キーピングについては、私の作った編集ビデオ『決勝戦のキーピング』を参考にしてください。