エースでセンターバックというとまさしくチームの大黒柱ですね。みんながうらやむポジションです。さぞかし運動能力の高い方なんでしょう。
ところで、今までたくさんの試合を見てきましたが、エース1人が得点元というワンマンチームは概してもろいと言えます。「自分だけ良ければ(シュートが決まれば、パスが通れば)いいや」という感覚の選手が多く、チームメイトの技量アップまで気配りが行き届かないのです。
従って、エースがマンツーマンで見られたり、調子が悪かったりすると、チームの中でエースを補う力も無ければ、エースを助けて頑張ってやろうという意気込みも生まれず、意気消沈して負の連鎖から大差をつけられることが多いのです。
ですから、エース以外のポジションから得点を上げられるような「形」を作る必要があります。私はこれは監督よりもキャプテンの役割だと思っています。どんな逆境に陥ってもみんなで力強く頑張ろう!という雰囲気を、キャプテンが中心となって作ることが一番の特効薬だということを頭の中に置いといてください。
さて、大会になるといつも緊張するということですが、緊張するのはあたりまえで誰でも同じです。しかし、心が緊張しても体は硬直しないように、試合前のアップを充分に行ってください。心を落ち着かせるには、目をつむって腹式呼吸で深呼吸をゆっくり5〜6回やってみてください。妙に落ち着くはずです。この場合、まず腹の中の空気を全て吐き出すことから始めるのが秘訣です。
チームに上から打てる人が少ないというのは他に誰もいないということなのでしょうか…。とにかく、もう1人は打てる人を作りたいですね。できればセンタープレーヤーに打たせるようにしてください。
特にクイックモーションで四スミを打ち分けることができるようにしてください。左45度からパスを受けた瞬間、タップパスをポストへ落とすか、DFが6mラインにへばりついていてタップパスをポストへ落とせない場合は、DFが出てくる前にクイックモーションで四スミを狙います。
この場合、タイミングとシュートコースが最も大事で、シュートスピードはさほど大きな要素ではありません。安心してください。DFのブラインドを衝くことができればシュートの成功確立はもっと上がります。センタープレーヤーのシュート練習をどんどんやって自信を付けさせて下さい。
右45度はシュート力が無いということになれば、徹底的にフェイントの練習をしてみてはどうでしょう。センターからパスを受けた瞬間アウトフェイントで45度DFを抜き、カットインシュートを狙うか、サイドヘバウンズパスを出します。右サイドのシュート力いかんでは大きな戦力になります。
打点が低くて小さな人にブロックされるということですが、確かに打点が高ければブロックされる確立は小さくなります。それはDFの上(正面)から勝負する場合にてきめんでしょう。しかし、実際はDFの横から打ったり、DFの手が上がる前にクィックモーションで打ったりした方がシュートの成功率は上がります。
ちなみに、パスを受けてすぐに打つステップシュート(パスを受けた時点でシュートモーションが完了している)は、キーパーはコースがわかっても取れないものです。
どんなタイミングで打つとDFの手がどのように出てくるか、どのような距離で打てば(ジャンプすれば)DFにぶつからずに済むか、キーパーの反応はどうか、こまかく観察してその裏をかくようにシュートコース、タイミング、位置などを工夫してシュートの成功率を上げる努力をしてください。
人の3倍努力するくらいの気持ちで取り組んで、その結果実戦で通用するようになれば、自信がつきます。自信がつけば迷いはなくなります。
それと、エースはどんなに苦しくても逃げてはいけません。歯を食いしばって頑張るのです。片意地を張り通してください。エースが弱気になったら一家総倒れになるのです。シュートが決まらなくても、チャンスだと思えば最後まで堂々と勝負してください。
勝負では「リズム」が大きく勝敗を左右します。リズムの良い時は何をやってもうまく行くし、リズムの悪い時は何をやってもうまくいきません。この「リズム」はDFの良し悪しと密接に関係しています。
しっかりと先読みをして、位置取りをすばやくし、相手の自由な動きを封じ込めることができれば、ミスから速攻につなげ、楽して得点できるので、良いリズムができます。
また、1:5DFは強力な45度エースを止めたり、パスミスを誘って速攻を仕掛けたりするのに有効ですが、隣のDFとの間隔が広がりますのでフェイントやパスで崩されやすく、0:6DFの練習もしておいたほうが良いでしょう。
45度シュートついては、私の作った編集ビデオ『小さな巨人たち』『白永蘭のプレー』を参考にしてください。