このコーナーはみなさんから寄せられた質問に答えた内容を紹介したものです。練習の参考になれば幸いです


相 談

高校でハンドボールをやっていて、ついこのあいだ3年生が引退したばかりで自分は今2年です。しかし新体制に大変不安があります。今の現状を説明するのでなにか一人一人にアドバイスをください。
監督・・・ハンド未経験者。試合中、練習中、態度などについて一切指示、注意、まとめをしない。いわばただの責任者。
逆サイ・・・168センチ。逆サイのシュート精度はなかなかだけど、ディフェンスに戻らず、常にワンパスを待っている。
逆45・・・183センチ。シュート力はあるけど、パスが下手。走りこむ位置にパスをだすことができないので、常にパスを相手の後ろにだしてしまうので、プレーが止まってしまう。走りこむ位置がセンター寄りなのでセンターの行き場がなくなる。
センター・・・中学経験者。身長170cm。上からシュートを打ってくけど、シュートコースを読まれてしまう。
正45°・・・183センチ。上から打つけど、シュートコースが悪い。走りこむ位置がセンター寄りなのでセンターのスペースがなくなる。
正サイド・・・167センチ、球はあまりはやくない。コースはいいけどフィジカルがないので押されたら中に入れない。
ポスト・・・自分が打つことしか考えてないので、パスをださなかったら怒るし、上の妨害にもなる。
キーパー・・・ワンパスをたくさん狙うが失敗が多い。セーブ力はかなり高いが、いつもキーパー辞めてフィールド転向したいといってるので消極的。
チーム全体・・・ワンパス速攻中心でセットや知恵を使ったプレーがない。ずらしができない。シュート力がない。フェイントにキレがない。
どうすればいいでしょうか




 なかなか悩みが多くてこまりますね。そんなに悩んでばかりいたら自分の練習もおちおちできませんよ。人ができないことを悩むよりも、自分のテーマを完成させることが先決です。

 また、できない人でもそれぞれテーマを決めて、レベルが低くても、どれだけ上達したか観察し、少しでも上達したらみんなでほめて、少しずつ自信をつけさせましょう。これを繰り返すうちにいつか急激に上達するはずです。

 監督はハンドボール未経験者ということである程度コンプレックスを持っているのかもしれませんね。そういう時は逆に先生にどうすればよいのかを相談することです。
 先生も相談されれば、行動せざるを得なくなります。行動しようと思ったら勉強しなければなりません。ぜひ、細かい点まで相談してみてください。 指示を待っていたのでは状況は変わりません。先生と一緒になって悩むのです。そうするといろんな解決方法、アイディアが生まれてくるはずです。

 逆45度が183センチでシュート力があるというのは最高じゃないですか。なぜそれを有効に使わないんです。もっとほめてやってください。下手なパスを直すよりもシュートを強化するほうが優先です。シュートに自信がついたら、パスもすべてうまくいきます。

 センターはまず45度に勝負させることです。左45度に打たせたいのなら、左45度がどういうタイミングでどこからシュートするのが一番得意なのか知っておくことです。左45度の一番喜ぶパスを出してやってください。右45度も一緒です。
 シュートは自分のマークが甘くなったときやポストとのコンビがうまくできたときです。球回しをしていてマークが甘いとき、すぐにステップシュートを打てるようにしておいてください。

 サイドはサイドシュートと速攻が仕事です。球が遅くてもシュートが決まればそれでよいのです。速攻は大事ですが、これはDFをしてからの話です。DFの手を抜くサイドは必要ありません、交代させてください。なぜなら、DFをしっかりしないと得点されますし、速攻につながらないからです。DFでリズムをつくることが何よりも優先されます。「サイドなら少しぐらいいなくてもDF力は変わらない」なんて思っていたら大間違いです。サイドがいないおかげで、すべてのDFが迷惑することになります。

 ポストとセンターと45度の3人でコンビネーションプレーを3つほどつくってください。その中にポストへのパスプレーも入れて繰り返し練習すると、自信がついてきます。コンビネーションプレーは編集ビデオ「ザ・コンビネーション」を参考にすると良いと思いますが、監督の先生に相談して買ってもらってはどうでしょう。

 1本速攻と2次速攻の判断を早く冷静にすることが大事ですが、一か八かの1本速攻よりも、一般的にはパスをつないだ2次速攻のほうがケース的には多いし、これをマスターしたほうが有利です。6×6の速攻練習で感覚を掴むのが良いと思いますが、やり方についてはハンドボール教室オフェンス編を参照してください。

 チームの弱点がわかっているのならば、それを克服するような練習方法を取り入れれば良いでしょう。セットプレーは、ポジションごと(サイド・45度・ポスト、45度・ポスト・センター)に3〜5つは練習してつくり上げておいてください。2人のコンビがあったらなお良いと思います。

 ズラシにしてもクロスにしても、フットワーク力・フェイント力は必要不可欠です。毎日できるだけ1時間以上はフットワーク練習を行ってください。

とにかく、あなたのチームは両45度が183cmと大きく、鍛え方によっては非常に面白いチームになりそうです。今は自分達のプレーに自信が持てないので伸び悩んでますが、ポジション毎のコンビネーションに自信がついてくれば、飛躍的に伸びる可能性を持っています。頑張ってください。

フットワーク力・フェイント力をつける練習は、編集ビデオ「金明恵のコーチング」が参考になりますし、ポジション毎のコンビネーションは「ザ・コンビネーション」を参考にして下さい。