このコーナーはみなさんから寄せられた質問に答えた内容を紹介したものです。練習の参考になれば幸いです


相 談

私は現在、中学校でハンドボールを教えている教員です。今年初めて教員になり、初めて受け持った部活動がハンドボールでした。ハンドボールという球技も初めてで何がなんだか全くわからない事だらけでした。
 それが約半年が過ぎて、だんだんハンドボールが好きになってきて、だいたいの動きや練習の仕方も分かり始めてきました。夏の大会も過ぎ、我がチームも2年生を中心とした新チームの活動が始まりました。うまくいけば全国か?!と言われていた前チーム比べると、体格にもあまり恵まれず、技術的にも準レギュラーだった部長以外はほとんど、運動神経と理解力がいい1年生と何らかわりません。ですが顧問としては、やっぱり新チームも頑張って勝たせてやりたく、基本的なフットワーク、1対1や四角パス、三角パス、速攻練習等を重点的にやった方がいいのではないかと思い、練習ではさせています。このハンドボールオアシスで調べた、練習の仕方も使わせて頂きました。
 ですがやはり部員は、6対6やゲームをしたがり、ハンドボールの経験のない顧問が言う練習メニューはあまりやりません。最近も、ダブルポスト時の4対4で45同士のパス回しからのOFの練習をさせてみようかと思い提案したら、「先生、そんなのやっても全然意味無いっすよ」と副部長に軽く一蹴されてしまいました。試合での選手の起用法でいろいろと私に不信感を抱いているとは思ったんですが…どうしたら部員とのコミュニケーションが上手くいくでしょうか?




 私は、中学校や高校で行う部活は、技術の習得というよりも、心身の健全な育成という部分に重きを置くものではないかと思います。

 集団行動の中から、「相手を思いやる心」とか「相手に対する礼儀や挨拶」とか「協力して破壊と創造と行うこと」とか「あくまでも勝負にこだわる心の育成」とか、そんなことを獲得することが一番重要な目的だと思います。

 ハンドボールというスポーツを介して「人格の形成」を目指すのです。そうすると、そういうものの獲得は「練習の種類」ではなく、「練習の質」が重要になってくるのです。

 たとえば、1つの練習で生徒をギリギリまで追い込んで見ると、「もう耐えられない」というターニングポイントにぶつかります。そこを超えようとすれば、生徒は逃げようとしたり、やけくそになったり、ふてくされたりします。それでも「その生徒を強くしたい」という先生の信念が強ければ、そのぎりぎりの練習を続けることができます。生徒を大きく包み込み、一緒になって練習に取り組みます。すべてを投げ打ち、徹底的に取り組みます。

 指導者は生徒の数段上を行かなければ、こういう境地ではのぞめません。そして、ハンドボールが素人でも自分なりに徹底して理解することです。「先生、そんなのやっても全然意味無いっすよ」と言われてスゴスゴ引っ込むようでは思考が足りません。もっと練習内容を徹底的に吟味、理解しなければなりません。その練習で先生は何を獲得しようとしているのか、はっきりさせて生徒に示すべきです。

 愚痴を言う前に、自分なりに生徒の10倍ハンドボールを勉強し、生徒と一緒に走り、生徒をよく観察し、1人前の人間に育てるようにコミュニケーションをよく取ってください。生徒を自分の子供だと思って取り組んでください。そうすれば、自然と自信がついてくると思います。

 選手たちのフラストレーション解消のためには、たまには試合をやらせてやることも大切なことです。そのとき、勝ちチームに褒美を与えたり、負けチームに罰ゲームを与えたりすると効果的です。じらしてからやるのが良いんで、いつも試合ばっかりやっているようではいけません。