このコーナーはみなさんから寄せられた質問に答えた内容を紹介したものです。練習の参考になれば幸いです


相 談

高校(男子)ハンド部の指導にあたっています。以前、韓国の強豪校で「一番気が強い選手をキーパーに起用する」というお話を拝見しました。なるほどな、と思ったのですが、私は逆に性格がやさしい子(=気持ちが弱いではないと思いますが)をエースにおくことによって、その子の成長を促せないかとかんがえてきました。それによってそのような子が前を狙えるようになった、とか声が出るようになったとか、更には私生活でも積極的になったりだとか(逆もまた然りです)、それなりに効果はあったと思います。しかし今のエースの子はどうも気持ちが弱く、性格云々よりやはり適材適所で選手を起用したほうが(つまり気の強い子をエースやキーパーで使ったり、性格のまじめな子を三枚目にいれたり)いいのかと思うようになりました。教育という観点から考えると難しいところだと私は思いますが管理人さんはどう思われますか?
 

 あなたのおっしゃることはたいへん意義深く、いつまでたっても大きなテーマであろうと思います。学校スポーツである以上、そのスピリットはあくまでも「教育」に主眼を置くべきだと、私も常々思っています。

 ただし、その「教育の水準」の問題があります。その子を「どこまで伸ばすか」ということです。無限の可能性を秘める子供たちの将来性を、指導者が「こんなもので良いだろう」と限ってしまえば、子供はそこまでしか伸びません。

 また、指導者のスキルが低ければ、子供たちの能力もそれ以上にはなりにくいということもあります。これは身体能力的にも言えますが、特に精神的発達度において言えることです。ですから、指導者は常に勉強しつづけなければ、常に子供たちの数段上を歩みつづけなければなりません。

 それと、目標には「個人の目標」と「チームの目標」があります。個人の目標にばかり固執すると、チームの目標がおろそかになり、全体のレベルを上げることはできにくくなります。逆にあまりにも高いチームの目標を掲げると、個人がつぶれてしまいます。

 手順としては、まずチームの目標を定め、そこに向けて個人の目標を定めるようにした方が良いと思います。そして、心身の鍛練を行うには、できそうでできないぐらいの目標を定め、より強い「喜び」「苦しみ」「悲しみ」という感情を抱かせるようにします。この感情の起伏が大きければ大きいほど、大きな個人財産として残ります。

 人は鍛えれば鍛えるほど発達します。目標を「市内優勝」「県内優勝」「ブロック優勝」「全国優勝」と徐々に上げていくことによって、普通の人が味わえない「喜び」や「苦しみ」や「悲しみ」を味わうことができます。その過程でいろんな工夫を考え実践しますので、この「プラン」「ドゥー」「チェック」「スィー」が社会人になってからも大きく役立つことになります。

 話は長くなりましたが、私はポジション別の性格というものはあまり気にしません。どのポジションも、試合は戦いですから、性格は「強い」に越したことはありません。しかし、いまある材料で料理をこしらえなくてはならないわけですから、どうやって材料全部を配置すれば料理が一番良い味を出すか、ということを考えます。これは、その年その年の人的構成を見て判断するしかないと思います。

 性格よりも運動能力的に適したポジションはあると思います。たとえば、45度は身長が大きくスナップの強い選手、センターは全体を見渡せて器用な選手(チームを引っ張れる選手が良いですね)、ポストは大きくてどっしりしている選手、サイドは足が速くフットワークの良い選手、などですが、どちらかというとそういう基準でポジションを決めています。