このコーナーはみなさんから寄せられた質問に答えた内容を紹介したものです。練習の参考になれば幸いです


相 談

僕は高校3年生で支部予選で敗退してしまって引退したのですが、これからもハンドボールを続けて、そして指導者になってハンドボールと関わっていけたらと考えています。
指導者の必要とする能力はたくさんあると思うのですが、特に僕が気にしているのは僕は中学・高校とキーパーの経験しかないのでコートプレーヤーのシュートの感覚、パスの感覚、心理状態、またディフェンスのことは少しはわかりますが、オフェンスについてはよくわかりません。このような状況でいい指導者になれるのか心配です。
でもキーパー出身の名監督はたくさんいると思います。そのひとたちはプレーヤー時代何か特別な事をやっていたのでしょうか?



 良い指導者とは、良い技術指導をできる人を指すのではありません。いくらすばらしい技術を教えても、受け入れる側に消化する能力が無ければ、消化不良を起こすだけです。また、「教え過ぎ」は応用力の無い選手をつくりがちになります。選手自らが自分だけのプレーを創り上げるように、導いてやれればそれで良いのです。

 私が思う良い指導者とは、選手一人一人の個性を伸ばすことのできる人です。常に自分たちで創造・チャレンジするチーム文化、勇ましくも弱者と強者が助け合うチーム文化をつくることのできる人です。

 ただし、こういったことを植えつけるには、人の能力を見抜く眼力とそれを引き出す話術(コミュニケーション能力)、人の性格を見抜く眼力とそれを刺激する話術が必要となります。そして、自分に備わっていない能力があれば、必死に勉強する研究心とひたむきさが必要です。

 技術的な指導力は、努力次第でいくらでもついてきますので、心配しないで下さい。あなたの人間性が選手やチームを育てるのです。あなた自身が、チームや選手の個性を限りなく伸ばせるような、包容力のあるすばらしい人間にならねばならないのです。

 指導者は死ぬまで勉強しなければなりません。